今回は少し堅い話をしようと思います。どの科の診察であってもおおよそ治療を受けるということは、メリットがデメリットを上回っていると本人が思った時でしょう。例えば胃がんの手術を受ける場合、入院・検査・点滴・手術・投薬・リハビリなどの本人の負担になるデメリットよりも、手術によって治癒する可能性が高くなるというメリットが上回るからそうするといった具合です。
美容外科の場合は一般に、治療による身体的負担(腫れ・内出血・合併症など)や治療費という経済的負担、あるいは時間的負担というデメリットよりも、自分が気になる顔や身体の整容的改善や心の健康を得る可能性というメリットを選択した場合に治療が進められることが多いでしょう。ただ、残念なことに美容外科ではデメリットが必ずあるということが忘れられがちです。「手術が簡単で、腫れもなく、人にバレず、形も良く、長持ちして、費用も安いetc」と書かれている治療には必ずいくつかのリスクを伴います。やはり良いこと(メリット)ばかりがあって、悪いこと(デメリット)がないという治療はないということです。
最近「どうして◯◯クリニックは腫れがないって書いてあるのに先生は腫れるっていうんですか?」とか「◯◯クリニックは特価◯◯円なんだけど、ここはなりませんか?」と聞かれることがありますが、そんな時私は「メリットが一つ多ければ、デメリットも一つ増えるんですよ、例えば‥‥」とお答えしています。
美容クリニック選びは、治療のメリットもデメリットもちゃんと伝えてくれるドクターであること、そして常に施術を受ける側の気持ち・立場になって考えてくれる理念を持っているクリニックが良いと私は思っています。