ウルトラVリフト
◉ウルトラVリフトとは?
吸収性の細く短い糸を顔の皮下に入れ、コラーゲンの生成を刺激して、皮膚深層の自己誘発性コラーゲン組織によって顔の輪郭を引き上げていく施術です。29Gという細い針を使用しますので痛みは少なく、腫れも少ないダウンタイムのほとんどないリフトアップ法です。直後から引き上がり感が非常にあり、持続効果は8~9ヶ月間。麻酔なしでできる手軽な引き上げ術として、韓国で一気に人気が出ました。
◉ウルトラVリフト 解析 ~その1~
美容医療界で今うわさのウルトラVリフト。
私の考えで解析します。
そもそもウルトラVリフトやリードファインリフト(ファインスレッドコンター)といった吸収する糸を皮下組織内に何十本も刺入して顔や身体のリフトアップを図るという韓国発(?:本当のところは不明)の最新スレッドリフトです。現在はこの二つの名前が先行して日本で売れていますが、今後はもっと類似の商品や施術が出てくるでしょう。
この二つの方法、違いは刺入針の長さ、本数、引き上げに対するベクトルの考え方、刺入深度などが微妙に違いますが、吸収する糸(PDS)は同様のようです。どちらにもメリット・デメリットがあるようですし、まだまだ改善の余地はありそうですから絶対的な治療法ではないので、中村式マルチアブソリフトとしてオリジナルの治療法が生まれそうです。
今回は若干軍配が上がっているウルトラVリフトを解析します。
施術手順は、非常にシンプルで
・麻酔(塗る麻酔を15分)
・デザイン(熟練したドクターなら要りません)
・つまんでは針を刺入し糸を入れる。ひたすらこれを繰り返す。
・クーリングとともにStemcellなどの導入。
ウルトラVリフトのメインの使用針は29G。糸は6-0PDSというモノフィラメント構造の吸収糸で30mm、50mmの長さのものが中心です。モノフィラメントというのは表面がツルっとしたガラス棒状の糸で、弾力性に富み、吸収されにくい特徴があります。それに比べてブレード糸は数本の糸が編みこまれた形態でやわらかく弾性が弱いといえます。モノフィラメントの吸収糸、これも解けにくい、刺入しやすい、などの理由から重要なことです。
◉ウルトラVリフト 解析 ~その2~
さて、セミナー講師の先生のお話、実際に施術を経験されている先生のお話を聞くと、ウルトラVリフトのようなスレッド美容鍼は、
(1)ツボ刺激の美容鍼効果
(2)吸収糸が皮内異物反応を起こしコラーゲン生成力を高める。
(3)細い吸収糸が皮膚内・皮下組織に埋没されることによるリフトアップ効果
ということでした。
が、全部が均等に当てはまるようには私は思いません。
なぜなら…
まず(1)。
ツボ刺激の美容鍼といいますが、本来の美容鍼は鍼によって、ツボを刺激し、顔のリンパの流れ・血流を盛んにさせて、年齢とともに活動をしなくなってきたリンパの流れ・筋肉を再び動かすことによって顔を若返らせるもの。そしてツボの部位は今回のウルトラVリフトで刺入する深さ、角度が大きく異なるからです。
これが美容鍼の刺入角度です。これならツボに届きます。
ウルトラVリフトでは皮膚に平行に入れています。
このように、皮膚に平行に入れるウルトラVリフトでは充分な鍼による充分なリフト効果は望めないと思われます。ただし、一部筋肉の深い位置に角度をつけて針を入れている場所もありますので、効果がゼロというわけではないと思います、効果の一つとしてあげるには乏しいということです。
次に(2)。
吸収糸によるコラーゲン生成力アップによるリフトアップ…本当?6-0のPDSの30~50mmを顔片側50~60本入れたことによる異物性コラーゲンが増える量って、どんだけあるんでしょうね。
それが重力という強敵に立ち向かい、勝利する張りを得られるんでしょうか。
「重量」は、重力を受けて物体が下向きに受ける力を計測した値です。物質に重力が作用することによって下向きにはたらく力を「重量キログラム」という力の単位として定義し、これは意味合いとしては「重量」と同じになります。(ただし、重さの単位は「kg」、力の単位は「kgf」区別されていますが。)
つまり頬~口角~頚部の重さを片側約50gとしても50gfの力が立位時に下向きにかかり、皮下脂肪組織のずれというスベリ現象を起こしている中、刺入したPDSのコラーゲン増殖だけでこれを防ぎきれるとは、私は到底思えないのです。
注目の(3)です。
施術を受けられた患者さんの多くが、その直後からリフトアップを実感するという事実は、最も大切なとこです。なぜならそこには必ず理由があるからです。
皮膚内・皮下組織に糸が入れられることによるリフトアップ、これでは少しわかりにくいですよね。②の所でも少し言いましたが、リフトアップは組織のずれという重力方向へのスベリを少しでも少なくすることで成り立ちます。引っ張り挙げて重力と綱引きするのが今までのスレッドリフト。
じゃあ、ウルトラVリフトは…見えてきましたね。
◉ウルトラVリフト 解析 ~その3~
なんだか今回のウルトラVリフトの最重要ポイントが見えてきましたね。
そうです、皮膚・皮下組織を重力の方向に滑りにくくする、ズレにくくするためにどうするか。ズバリ、ウルトラVリフトの肝なのです。ですから滑りにくい方向と力の大きさ(ベクトル)の考え方も当然大切なのですが、6-0という糸で力の大きさまで生み出すことは、なかなか困難と思われます(くどいようですがゼロではないです)。であれば、その場所にその組織がとどまりやすくするためのネット(今回の場合はPDSということになりますね)を皮膚・皮下組織に、顔面の運動できるだけ制限しない範囲で張り巡らせる施術といえるのではないでしょうか。
こういうイメージで皮膚・皮下組織内に安全な吸収糸を張り巡らせることが出来れば滑りにくい ⇒ 垂れにくいとなりますよね。
まあ、100本以上の糸を入れるのに100回以上針を刺すわけで、特に頬・目の下には数が多いんだからより強い腫脹が生じて頬の部位が盛り上がったようになり、リフトアップしたように感じる作用も少なからずあるとは思います。しかし、上手くネット状に入れることが出来ればズレが生じにくくはなるはずで、垂れなくなった感を確実に感じることが出来るでしょう。
ネットは隙間が開いているところ、密にクロス状であったりサッカーボール状であったりするところ、長い糸、短い糸、太い糸、細い糸、様々な工夫の余地はまだまだありそうです。
ボトックスリフトやサーマクールCPT、アンチラックス、PPCリポビーン(脂肪融解)なんかとのコンバイン治療でさらに効果的なのは丸わかりですね!
施術費用
内容 | 価格 |
全顔(1回目) | 325,930円 |
リタッチ | 162,910円 |